愛媛県産婦人科医会

当会について

妊婦健康診査(妊婦検診)の公費負担について

妊婦さんが健診費用の心配をせず,必要な回数の妊婦健診を受けられるように,全国の自治体で公費負担が行われています。愛媛県産婦人科医会では,少しでも妊婦さんの負担を少なくするべく,県および市町との話し合いで,今年度より公費負担の増額と,多胎妊娠の方への追加助成を実現しました。次の課題として,経済的に援助が必要な方が妊娠されたとき,初回産科受診料の支援が全県で行われるよう,行政に働きかけていきたいと考えています。

子宮頸がん検診・HPVワクチンについて

令和4年における愛媛県の子宮頸がん検診の受診者数は35,484名で,受診率は42.1%でした。受診者数はコロナパンデミック前の状況に戻ってきていますが,全国平均43.6%に比べやや低い状況です。なお,令和4年には検診で7名にがんが発見されています。

今後は関係部署と連携しつつ精度管理を充実させ,HPV併用検診を実施できる体制を整備していく必要があります。(*:松山市の妊婦検診は含まない)

災害時小児周産期リエゾンの活動について

地震や洪水など大規模災害時にも周産期医療を持続していくために,愛媛県知事より12名の県内産婦人科医が災害時小児周産期リエゾンとして委嘱されました(令和6年4月現在)。令和5年度内閣府大規模地震時医療活動訓練においてリエゾンとして訓練に参加しました。これからもリエゾンを中心に周産期関連の災害時訓練を継続し,大規模災害時でも安心してお産ができるような体制をつくっていきたいと考えています。

周産期メンタルヘルスについて

妊産婦のメンタルヘルスを守ることは,赤ちゃんの健やかな成長や母親,家族の安心を守ることにつながる大切な支援です。周産期医療に携わる全ての職種が妊産婦のメンタルヘルスを支援できるよう,令和5年11月5日に愛媛県産婦人科医会主催による愛媛県MCMC研修会入門編が開催されました。令和6年度も引き続きMCMC研修会を開催していく予定です。

おぎゃー献金について

「おぎゃー献金」は「お産を終え元気な赤ちゃんを授かった幸せ」を障害を持つこどもたちに「おすそわけ」する産婦人科医の運動です。「おぎゃー献金」の始まった1964年頃から愛媛県産婦人科医会もこの尊い運動に賛同し,各医会員への啓蒙を施すとともに様々な運動を繰り広げてまいりました。

例えば,毎年11月3日(イイオサンの日)に開催される「よい子を産み育てる妊婦の日」のイベントを48回行い(ここ4年間はコロナ禍で中断),これからお母様になられる方々に対して,講演会やコンサートやバザー等を通して献金をお願いしました。

また,小西秀信先生の始められた「ワンコイン運動」があります。元気な赤ちゃんを授かった妊婦様に「ワンコイン(100円)」の献金をお願いして回る。とても地道な運動です。健康な子どもでも,子育ては大変なもの。障害のある子どもはなおさらのこと。母の目で,育てあいの心で,小さな優しさが大きな支援になります。

「おぎゃー献金」に愛の献金を。我々産婦人科医の願いです。

性教育

性と生殖に関する課題に対して,人権を基盤としてより包括的に捉えようとする考えから,「性の健康と権利」が提唱され,その取り組みの中でも「性教育」は大変重要な役割を担っています。世界的指針では,性を単に生殖・性交だけとは考えず,人間関係やジェンダー平等も含め,幼少期からの人権教育として,幅広く体系的に学ぶ性教育「=包括的性教育」を基本として,義務教育に導入する国も増えています。愛媛県産婦人科医会では,県教育委員会及び県小児科医会と強固な連携を図り,愛媛県版包括的性教育の普及を目指して,具体的な取り組みを計画中です。

プレコンセプションケア

プレコンセプションケアとは,「女性やカップルを対象として将来の妊娠のための健康管理を促す取組み」であり,それはまた,「次世代を担う子どもの健康にもつながるもの」となり,その実施には医療・保健・教育・福祉などの幅広い分野で連携・推進していくものとなります。愛媛県産婦人科医会では,愛媛県ヘルスケア促進モデル事業において,指導・相談・教育のための場所と機会を提供し,個々の生活や健康管理の見直しや管理者等への意識改革の促進,その知識の向上や行動変容につながる支えになるよう協力・連携しています。

女性アスリートに対する活動 

女性アスリートにおける「生理(月経)×スポーツ」や「性」に対する教育・啓発活動を推進して,頑張っている女子選手の健康支援(ヘルスケア・サポート)を行なっています。 これらの活動は,愛媛県スポーツ医科学センター(主体:愛媛県スポーツ協会)を通じて, 愛媛県医師会・歯科医師会・薬剤師会・スポーツ栄養士会と連携して行われています。 

生理(月経)トラブル 

月経困難症(生理痛),月経移動の調節,低用量ピル,アンチドーピングの相談・治療 

性の問題

セクハラ,性被害,多様な性(LGBTQ)に対するカウンセリング・啓発 

「女性アスリートの三主徴(FAT)」:利用可能エネルギー不足・無月経・骨粗鬆症 

初経が始まる頃(小学高学年)から過度な運動やトレーニングをすれば,身体の成長に必要な栄養(利用可能エネルギー)が不足し,初経開始の遅れや月経不順(無月経)となる場合があります。この状態が続けば,骨量が減少(骨粗鬆症)して疲労骨折を起こしてしまいます。 

「FAT」は選手生命を短くし,現役引退後のQOLにも影響を及ぼすので,早期に対策を講じることが重要です。